2011年10月29日土曜日

ニシキギ(錦木)

裏山から西に張り出した緩やかな丘陵の北側林縁、“裏山植物園”の西方約100m(標高400m)に位置している義父所有の雑木林(延長40m、幅約10m、仮称“里山植物園”)で見つけました。紅葉し始めた樹高約2mの落葉低木、ニシキギです(2011.10.28 9:44撮影)。周辺のあちらこちらに、これとよく似たコマユミが生えていますが、ニシキギはこの一株だけです。


ニシキギ科の仲間は本年枝が緑色で、対生する葉が共通する特徴のようです。さらに枝に翼があるのがニシキギの特徴で、翼が無ければコマユミになります。接写画像で、翼が褐色板状であり、紅葉し始めた対生の葉、葉の縁には鋸歯があります(2011.10.28 9:45撮影)。ニシキギ(錦木)の名前の由来は「紅葉を錦に例えたことによる」そうですが、未だ“錦”と呼ぶには早いようです。

2011年10月14日金曜日

アクシバ(灰汁柴)

裏山の自称“裏山植物園”入口付近、里道脇にクマザサの下から逃れるように出て、葉を水平に広げている背丈50cmほどの低木です。葉をつけた若い細枝は緑色で、葉は互生しています。葉柄はほとんど無いようです(2011.8.14 15:03撮影)。付近に多いカンサイスノキと似ていますが、葉をかじると、カンサイスノキのような酸味よりも、むしろ苦味が感じられます。


葉は卵形〜広披針形で、先の方が尖っています。縁には細かい鋸歯があります。葉脈は凹んでいて網状の細脈までよく見えます(2011.8.14 15:04撮影)。


葉裏は白っぽく、葉脈は緑色で細脈までよく見えます(2011.8.14 15:04撮影)。

ナツハゼーアラゲナツハゼの中間種(?)その4

裏山で最も自宅に近い開墾畑脇に自生しており、観察を続けている中間種(?)です。未熟な総状果序のついた枝先を、CCDスキャナを使って撮影してみました。
未熟な緑色の果実は、まん丸球形のナツハゼやアラゲナツハゼと違ってやや縦に伸びた卵形、白い開出毛が葉の縁に密に、内側に向かって粗く生えている様子がよく判ります(2011.7.15 15:53撮影)。どの果実にもその頂部に、ナツハゼで特徴的な萼片跡の桜模様が見えます。

2011年6月19日日曜日

ウグイスカグラ(鶯神楽)その5

裏山で観察木にしている株立ち樹形で高さ約2mウグイスカグラです(2011.6.13 10:48撮影)。葉陰にオレンジ色の果実がぶら下がっているのを見つけました。


接写した果実です(2011.6.13 10:47撮影)。ミヤマウグイスカグラと異なり果柄や果実の表面に細毛が見られません。果実が赤くないのは日照不足のためでしょう。

2011年6月18日土曜日

イヌウメモドキ(犬梅擬)その4

自宅裏手の風倒木跡地で見つけた樹高約2mのイヌウメモドキの雌株です。タイミング良く満開状態で咲いていました(2011.6.18 13:31撮影)。葉腋に見られる雌花序は3〜4個の雌花から成っています。


雌花の直径は3〜4mm、花弁は濃いピンク色で5個、中心に緑色で短円柱状の子房が存在感を示している一方、その周りにある退化した雄しべは5個で、いかにも貧相です(2011.6.18 13:30撮影)。

アワブキ(泡吹)その2

自宅裏手に自生するアワブキです。開花を心待ちにしていたのですが、樹高4〜5mの主に樹冠にある花序を高枝バサミで採取して見たら、すでに盛りを過ぎていました(2011.6.18 12:11撮影)。


未だ芳香を漂わせている花序を接写して見たのですが、多くの花弁が散ってしまって、本来の小花の形状を理解するのが困難な状態でした(2011.6.18 11:12撮影)。


山渓ハンディ図鑑4「樹に咲く花(離弁花2)」によると「花弁は5個、外側の3個は大きく広卵形、内側の2個は小さく線形。雄しべは5個、1〜2個が完全雄しべで、残りは退化して仮雄しべになっている。完全雄しべは花糸の先端が杯状に広がって葯がつく。仮雄しべは鱗片状で白く、花柱の下半分を包む」と記されています。比較的完全と思われる小花を改めて接写して見ました(2011.6.18 11:14撮影)が、この画像から上記図鑑の記載のすべてを理解するのは難しいようです。

ザイフリボク(采振木)その5

隣接する雑木林で先月白い花を咲かせたザイフリボクです。あれから1ヶ月余り経過して、未熟ですがすでに球形の果実を付けていました(2011.6.13 10:23撮影)。これらの果実は熟すと粉白を帯びた黒紫色になりますが、完熟するのは未だ3ヶ月先、9〜10月になります。


わが家の庭には4−5年前に植栽されて大きく成長した通称「ジューンベリー」と呼ばれているアメリカザイフリボクがあります(2011.6.13 10:54撮影)。ザイフリボクよりもやや早く咲くアメリカザイフリボクの花は、ザイフリボクと見間違うほどよく似ています。ただし、ザイフリボクと異なり、その通称通り6月のこの時期にすでに熟して球状の赤い果実を多数付けています。赤く色づいた果実にはほのかな甘味があります。

2011年6月14日火曜日

ミヤマウグイスカグラ(深山鶯神楽)その3

自宅のすぐ裏手で昨年見つけたミヤマウグイスカグラです。今年は赤い果実が多数見られます(2011.6.13 10:49撮影)。


赤い果実の表面だけでなく、果柄にも、葉にも、葉柄にも、細かい毛が密生しています(2011.6.13 10:50撮影)。

タンナサワフタギ(耽羅沢蓋木)その5

裏山で“観察木”になっているタンナサワフタギです。サワフタギには多数の小さな果実がすでに見られましたが、タンナサワフタギは花がちょうど散ったところです(2011.6.13 11:20撮影)。葉は倒卵形で、どの葉の先端も尾状に急に細くなっています。


葉の鋸歯が鉤状で内側に曲がっている様子がよく判ります(2011.6.13 11:20撮影)。


サワフタギの葉と一緒に並べて見ると、鋸歯の形状の違いがさらによく判ります(2011.6.13 11:26撮影)。下側の葉がサワフタギ、上に載っている葉がタンナサワフタギです。

サワフタギ(沢蓋木)その3

その2で紹介した自宅裏手に自生するサワフタギです。花が終わり、小さな未熟の果実が多数見られるようになりました。葉をよく見ると、葉は枝先に近いほど大きく、幹に近づくほど小さいように見えます(2011.6.13 11:17撮影)。


葉は楕円形で、比較的浅い鋸歯の切れ込みがよく判ります(2011.6.13 11:17撮影)。

2011年6月10日金曜日

ナワシログミ(苗代茱萸)その3

裏山で2009年11月に見つけ、昨年10月に開花を確認しています。果実は寒い冬の間にゆっくりと大きくなったようです(2011.5.9 16:47撮影)。「熟して色づくまでもう少し」ということで楽しみに待っていたのですが、一昨日行って見たら、野鳥に食べられたのか、果実はすべて無くなっていました。

サンカクヅル(三角蔓)

裏山で数年前まで植林ヒノキ林だった伐採跡地で、ムラサキシキブなどの灌木に絡まっている見慣れない蔓性木本を見つけました(2011.6.8 14:33撮影)。


葉は草本に見間違うほど柔らかい薄手です。その名の通りの「三角」には必ずしも見えない葉もありますが、明らかに他のブドウ科の葉とは異なった形状であり、その意味では、アマヅルと共に三角形と言っても良さそうです。ただし、アマヅルの鋸歯が凸形波状であるのに対して、サンカクヅルの鋸歯は凹形歯牙状です(2011.6.8 14:34撮影)。


葉の付き方は互生ですが、葉と対生して円錐花序が出ています。この花序には小さな球状の蕾が多数見られます(2011.6.8 14:33撮影)。

アワブキ(泡吹)

自宅裏手の枯れ沢に自生している樹高4~5mのアワブキです(2011.6.5 10:37撮影)。以前から気になっていたのですが、周りの雑木と混み入っていて撮影し難いので投稿が遅れていました。「葉で見わける樹木(増補版)」(林将之著)において最大の樹種グループ[不分裂ー互生ー鋸歯ー落葉](種数72)に属しているにもかかわらず、幸運にも、リョウブと一緒に最初に記載されていて、すぐに見つかりました。


葉は長さ20cm前後の長楕円形、ほぼ平行な側脈が20~30対でよく目立っており、それぞれの側脈の先端が芒状の鋸歯になっています(2011.6.5 10:36撮影)。


幹径は約15cm、樹皮は灰色で小さな皮目が見られます(2011.6.5 10:38撮影)。


枝の先端のほとんどすべてに大きな円錐花序が見られ、直径1mmにも満たない小さな球状の蕾が多数付いています(2011.6.8 14:20撮影)。山渓ハンディ図鑑4「樹に咲く花(離弁花2)」によると、花は直径3mmほどで芳香があるそうです。開花を心待ちしています。

2011年5月12日木曜日

ウワミズザクラ(上溝桜)その3

裏山や林縁のあちこちに多数自生するウワミズザクラで、ヤマザクラやカスミザクラよりもさらに遅れて開花しました(2011.5.9 16:56撮影)。裏山の他の桜と違って、多数の白い小花が密生した長さ約10cmの総状花序を成しています。

ヒメコウゾ(姫楮)その2

今年も裏山のあちこちに自生するヒメコウゾに、花序が見られるようになりました(2011.5.9 16:41撮影)。ヒメコウゾは雌雄同株で、花序はいずれも球形、雄花序は新枝の基部に1個だけ、雌花序はそれより上部の葉腋に2〜3個、長い花柄の先にぶら下がっています。何とも奇妙な花序ですが、雌雄別株のコウゾの花序もよく似ているようです。

2011年5月11日水曜日

イヌエンジュ(犬槐)その3

昨年5月にも観察した裏山の樹高4〜5mのイヌエンジュです。その時は羽状複葉の葉が大きく展開していましたが、今年は時期が未だ2週間ばかり早いために,葉は未だ展開中で銀色に美しく輝いています(2011.5.9 16:40撮影)。


展開中の葉や葉柄、今年の細枝にはビロード状の軟毛が密生していて、すべてが緑白色に見えます(2011.5.9 16:40撮影)。面白いことに、今年枝の基部には3枚の芽鱗が未だ落ちないで残っています。

2011年5月10日火曜日

ヤマウルシ(山漆)その4

ヤマウルシの葉の付き方をどのように表現したら良いか迷っていたところ、「ヤマウルシは“一本傘”のようになる」と説明されているブログ(「野人エッセイす」http://ameblo.jp/muu8/)を見つけました。確かに真夏には立派な一本傘になるはずですが、新芽が展開し始めたこの時期には“一本傘”ならぬ“破れ傘”状態です(2011.5.9 16:45撮影)。下方の羽状複葉の葉腋から黄緑色の花序が伸び始めています。雌雄異株だそうですが、本種がどちらに当たるのか不明です。後日、何とか判別し、雌雄別々に掲載したいと思います。


それほど似ているようには見えませんが、一説によると新芽が展開し始めたばかりのものはタラの芽と見間違うそうです(2011.5.9 16:37撮影)。

ザイフリボク(采振木)その4

隣りの雑木林に自生している樹高5m以上ありそうなザイフリボクです。花の様子を采配に見立てて「采配振り木」すなわち「采振木」と名付けられたそうですが、言われてみると、この時期の花がまさに“振られている采配”に似ているようです(2011.5.9 16:34撮影)。

コナラ(小楢)その3

裏山で切り株から萌芽したひこばえ(幹径10cm余)です。この時期、新芽がやっと展開して緑白色の柔らかい若葉が見られます(2011.5.9 10:24撮影)。

カナクギノキ(鉄釘の木)その3

自宅裏手で最近見つけたカナクギノキです。束生する葉の基部に冬芽の名残の芽鱗が付いています(2011.5.9 16:10撮影)。


その芽鱗は透明感のある白色で、ピンク色に縁取られています(2011.5.9 16:10撮影)。